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2005年11月30日

検査制度に大きな欠陥。関係者だけでなく国も責任を負い、業界も巻き込んで解決を目指せ。

 強度計算書偽造問題と言われてきたこの事件だが、どうやらこれは穴だらけの確認検査制度そのものに起因する事件だという事が見えてきた。

 もちろん制度に穴があっても、建築に携わる人々がプロとしてプライドを持っていれば問題はそうそう起きるものではない。

 建築基準法 第一条にはこう書かれている。
「この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。」

 第一条の精神が完全に置き去りにされたカタチになった今回の事件だが、検査制度はとてもではないが「検査」とは言えない内容である事をご存知だろうか?

 設計段階から実際に完成引き渡しに至るまでの間に、確認検査は3回行われる事になっている。つまり、トリプルチェックという事で見落としを防ぐという事なのだが、実はこれ、トリプルチェックになっていないのだ。
051130kyoudo.jpg

 この3回の確認検査は「同一の検査機関で行う」事が出来るのである。つまり自分で自分のミスを見つけるという、チェックミスが発生し易い制度になっているのだ。

 普通の会社でもダブルチェック等の際には別の人間の手でチェックをするという工夫がなされるのが当然だ。ミスにもそれぞれの人間や機関の癖があり、その癖を自身で見つけるのは非常に難しいのである。

 にも関わらず、建築という非常に重要な分野でこんな中途半端なチェック体制が許されているという事に驚いた方も多いのではないだろうか?

 さらに驚きなのは「住宅性能評価書」である。これは上記の確認検査に付け加えて任意で行う性能評価なのだが、この評価を行う機関は確認検査を行った機関と同一でも構わないのだ。

 客観的な評価を実施する第三者機関が指定されていると言うが、実際には「指定確認検査機関」が「指定住宅性能評価機関」としても指定されている。一覧表をご覧頂ければ、今回の事件で名前の挙がった機関がどちらのリストにも載っている事がわかる。

指定確認検査機関の一覧
http://www.basic.or.jp/j/ken/siteikikan.htm

指定住宅性能評価機関の一覧
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/hinkaku/kikan/kikan.htm

 つまり、建築については、安心できる検査も性能評価もとうてい望めないという事になる。

 確かに悪い奴らは、そうした制度を逆手に取ってコストや受注を優先する業者達なのだが、簡単に悪用されてしまうような制度を作り、被害を広げてしまった国の責任は大きい。

 プロとしてのプライド、職人根性、そういった精神性を期待したいのは人情だが、人間は追いつめられると自分にとって都合良く物事を解釈し、易きに流れてしまう傾向がある。他者の責任を指摘し合う国会での醜い関係者達の姿こそが、平均的な人間の姿だ。目先の餌とムチに右往左往する彼らが特殊なのだと思ったら大きな間違いだ。

 どんなに大きな犯罪も、巧妙な不正行為も、小さな思いつきから始まる。その段階で法律や制度が抑止力となれば、「不可能な思いつき」に終わり、「やっても損だからやらない」という事になる。

 制度の不備を悪用する奴らを許してはならない。国会でのやり取りも「誰が一番悪いのか」責任のなすり合いに終始していたが、故意に強度計算を偽り、故意に生命軽視、経済優先の設計を強要し、杜撰なチェックでそれを見逃した関係者全員に罪が在る。誰一人としてその責任から逃れる事は出来ない。

 しかし、それ以上に、簡単に悪用され、その悪用を発見する事がここまで遅れてしまうような制度をつくってしまった国の責任は大きい。民営化を問題視する論調も一時期見られたが、民間指定確認検査機関以外でのチェックミスも発覚している事から、問題の根はもっと深い事が分かるだろう。

 すでに「誰が悪いのか」を究明するだけでは片付かない。国や関係者達だけでなく、業界全体も巻き込んでこの問題に立ち向かわなくては、問題解決は望めない。
posted by 本気らいふ at 05:32| Comment(0) | TrackBack(0) | どぉ〜なっちゃってんだよ! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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