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2009年06月14日

数学的思考で年金は大丈夫なんて言われたら、よけいに心配ですけど?

追記(090711):このエントリについて、考えてみたら確かに「未納の増加」は年金破綻の原因とはならないようです。書名は正しいと言っていいでしょう。

でも、数学的発想の範囲外に、破綻の可能性があったらどうするんだろう?。

というわけで、やっぱりこの本を根拠に年金は安心だと結論する事は出来ないなぁと、思ってます。


「未納が増えると年金が破綻する」って誰が言った? ~世界一わかりやすい経済の本~ (扶桑社新書) (新書)



数学的な思考があれば、自分で考える力がついて、マスコミの情報に惑わされなくなるといった事を、著者である細野 真宏 氏は雑誌のインタビューで主張している。

が、この本で展開されているのは、数学的な思考というよりも著者の思考法に過ぎないのではないか。

出版社がマーケテイングの一環として、こんな挑戦的なタイトルにしたのだろうが、これが数学的な思考というもので、それを信頼できるものであるかのように提示する著者の姿勢には疑問が残る。

というのも、数学的思考が経済にもたらした大失敗こそがサブプライムローン問題だからだ。


それ以前にも数学的にリスクが計算されていた筈が、破綻してしまって通貨危機を招いてしまった事件もあった。

数学的思考で「年金は破綻しない」と言われたら、私は逆に不安になってしまう。

CDSはどういう理屈でどんな説明をされてどうして世界に広がって行ったのか、もう忘れてしまったのだろうか?


数学というものに対して、妙な信仰を持つ人たちが居る。

数学で大丈夫とされると、安心してしまったり、そこにある数式がよくわからないものであればあるほど信用してしまったり……。

確かに数学は優れた道具である。自然科学の限られた条件の内側であれば、予測したり分析するのに有効だ。

だが、人間という不確定要素の固まりが寄り集まった社会科学の分野でも、数学的思考が通用すると信じるのは「無邪気」としか言いようが無い。

数学的思考が無駄とは言わないが、この本で展開されている数学的思考によって「年金は破綻しない」と信じてしまっては、マスコミの情報に振り回されるのと大差ない。

数学では頼りになる「定理」というものが、年金問題には存在しない。

定理という土台もなしに証明をやるというのは、数学的には……。まぁ、私は数学者でもないからこのあたりを突っ込んでも釈迦に説法というものか。


この本が出た事によって私はより一層、年金に対する不安が深くなった。

現代の経済史において、数学的な根拠を持ち出してリスクが見えなくなり、社会に混乱をまき散らすといった事が何度も起きているからだ。

この本は、一つの考え方としては参考になるが、年金問題を数学的な思考によって「破綻の可能性が高い」と論じる事もまた可能であろうから、別の数学者による反証を期待したい。


ところで、数学に裏付けられたとされた金融商品や経済理論によって経済の混乱が引き起こされる可能性を数学的に論じてみたらどうなるのだろうか?

数学的思考が経済分野で人をミスリーディングする可能性を数学的な手法ではじき出してみたら、かなり面白い結果になるのではないかと思うのだが?

数学的思考というものが社会をよりよく理解する為に使われるなら良い。だが、現実の社会では素人を煙に巻く為だったり、安心感を演出する為の道具として数学を使う場合がある。

数学的思考を学ぶ事によって、数学を装ったペテンや、数学の限界を無視した危険な理論から身を守るといった視点でこの本を読むなら、実りのある読書となるかも知れない。

しかし、間違っても、この本を読んで「年金は安心」と思ってしまってはイケナイ。それこそ数学的思考とは正反対の思考停止に落ちてしまう事になる。
posted by 本気らいふ at 19:59| Comment(0) | TrackBack(1) | どぉ〜なっちゃってんだよ! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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「『未納が増えると年金が破綻する』って誰が言った?」
Excerpt: 物事を「素直」に見ることと「深く」見ることは矛盾しない 「未納が増えると年金が破綻する」って誰が言った?世界一わかりやすい経済の本 (扶桑社新書)細野 真宏扶桑社 2009-02売り上げランキング..
Weblog: The企業年金BLOG
Tracked: 2009-06-16 00:27

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